安倍晉三元首相は夕刊フジの隔週連載で、先月インドを訪問し、基調講演を行ったと明かした。安倍氏は、日本とインドは、自由と民主主義、基本的人権、法の支配など共有する部分が多いとの認識を示し、「インドは將來、人口16億人を超え、高度経済成長も続けている。日本が「価値観外交」を進めるに當たって、重大な意味を持つ國の1つだ」とした。安倍氏はさらに、インドのシン首相から、中國の認識について質問があったとし、シン首相は「中國の軍事裝備はインドの脅威になりつつある」と語ったと言及。南中國海や東中國海、インド洋での活動を活発化させている中國を牽制し、國際的な協調體制に引き入れるためにも、日印両國の協力関係を強化することは重要だと呼びかけた。また、日印両國が來年、國交樹立60周年を迎えることに觸れ、インド海軍の日本親善訪問を提案。その時、日本の海上自衛隊とインド海軍、場合によって米海軍も參加して合同訓練ができれば、アジアの平和と安定に寄與すると思うとした。
日本の安倍前首相のこの発言は、日本の右翼政治の最前線に立つ野黨の政治家としての彼個人の意見とも、外交経験のない野田內閣が黨外からの意見を受け入れれば、せめて外交方面だけでも「與野黨一致」を実現できるという與黨?民主黨に対する「コール」ともとれる。安倍氏のこうした「コール」に、野田內閣は公の場で応答していない。25日付の日本経済新聞によると、10月末にインドの外相が訪日し、昨年8月以來の「戦略対話」を開催、インド洋などのシーレーン(海上輸送路)の安定確保などでの協力強化について議論する。野田首相は12月にインドを訪問予定。
指摘すべきは、野田氏が首相就任後、訪中を希望する一方で、「中國牽制」の動きを活発化させていることだ。年內の中國訪問については「まだ調整中」だったため、先に韓國を訪問し、それから東南アジア各國、米國に赴き、続いてインドを訪問するという。こうした外交ツアーの共通の話題は、「中國牽制」。野田氏はこうした外交手段を使って中國に重圧をかけ、自らの訪中の下準備をしているのかもしれない。
政権交代、それに首相は年に1度交代しているが、日本のポスト冷戦時代の外交方針は徐々にはっきりとした形を成しつつある。つまり20世紀の冷戦時代の「中國包囲」の伝統思想を受け継ぎ、21世紀も米國および中國の周辺諸國とともに「中國抑制」戦略を実施しようとしている。冷戦時代の「中國包囲」は、主に「ハード?パワー」で「仲間はずれ」にする方法だった。ポスト冷戦時代の「中國抑制」は主に「ソフトパワーとハードパワーの結合」で、「政冷経熱」(政治分野では冷卻しているが、経済分野では過熱している)の方法を運用し、経済的には中國の改革開放による発展の利益を享受する一方、安全保障面では「中國を抑え」、中國を服従させようとしている。中國の対日外交は、調整が必要な時期にきている。(筆者 蔣豊)
「中國網日本語版(チャイナネット)」2011年10月27日