もし、ある國の文化としてのスポーツ振興のためには、ビジネス的成功が必要であるのならば(文化振興にも経済資源が必要なので)、コンテンツ産業に対する経営學的ノウハウが文化振興政策において必要ということができるでしょう。同様に、音楽、絵畫などの蕓術にも同じようなことはいえます。
オリンピックは、オリンピック組織委員會が近代になって方針転換に成功し、商業化を大いに成功させた一例でありますが、日本や中國のスポーツ振興(政策)に著目してみますと、米國等のスポーツコンテンツ産業発展國に比べて、それぞれ國內のスポーツコンテンツ産業発展が弱い部分がまだ多くあります。この原因は、これまで日本でも中國でも、スポーツ産業の発展についてスポーツ実施者を対象とした施策が多かったからであります(スポーツコンテンツよりも「スポーツ教育」に関連する管轄の範囲が大きかった)。それよりも、スポーツ振興のための大きな経済的源泉を得るためには、先程挙げましたようにスポーツ観戦者を対象としたコンテンツビジネスとしての手法を導入した施策が必要といえるでしょう。
いくつかの歐州の國々、米國ではすでに実施され、成功している例も多くありますが、エンターテイメントコンテンツビジネスとして國內スポーツをとらえて、教育政策ではなくコンテンツ産業政策としてスポーツ産業を盛り上げていくという方向に日本?中國の政策舵取りができれば、日中の両國にはまだまだ國內発展の余地が莫大に殘っているといえますね。
とくに中國は近年のスポーツコンテンツビジネス市場需要量増大の割に、これまで手付かずであった事業分野が多く、しっかりとこれが制度化されれば非常に有力なビジネス化しやすいコンテンツとなっていくと思われます。例えば、アメリカのバスケットボールコンテンツの「NBA」は日本でも長年注目を集めていますが、今後中國のスポーツコンテンツビジネスの発展に伴い、中國獨自のスポーツコンテンツビジネスが日本に輸出され、日本人が大いに熱狂するということもあるでしょう。(ちなみにスポーツコンテンツの輸出入というテーマでは、NBAよりは小規模ながらも、日本のJリーグもすでに中國國內でファンがいらっしゃるようです。)
折しも今年、日中國交正常化40周年の単発文化交流イベントが多くあります、それはそれで「単発一點主義」のセレモニーとして良いのでありますが、スポーツ等のエンターテイメント分野における地に足のついた「ビジネス交流の延長線上にある文化交流」こそが、「継続多面主義」の施策として、両國の文化的な親近感、すなわち友好的交流を高めるための助力になっていくのではないでしょうか。
さーて、今日もオリンピック、楽しんじゃいましょう!!!寢不足にはご注意を!(^_^;)
(中川幸司 アジア経営戦略研究所上席コンサルティング研究員)
?中國網日本語版(チャイナネット)? 2012年8月6日