相変わらず「招商引資(企業誘致と資金導入)」ミッションの來日が相次いでいます。特に、中國の春節(舊正月)明けから數カ月は來日ラッシュの観があります。筆者の記憶では、こうした中國各省?市の招商引資ミッションは1990年代から本格化したように思われます。ということは、かれこれ20年の歴史をもつことになるわけです。省長や市長が団を率いての訪日もありますが、副省長や副市長の率いるミッションが多いようです。よく知られるホテル內での日本企業誘致説明會では、當該省?市の紹介が行われた後、配布されている分厚い資料をもとに誘致したい投資項目の紹介が続きます。
省?市政府が、いわば地元企業の親代わりとなって現場に乗り込み陣頭指揮を取りつつ誘致活動を展開するところは舊態依然としていますが、このところ目立つのが、いずれのミッションも日本の中小企業の誘致に熱い視線を送っているということです。日本経済の低迷で生き殘りをかけて、あるいは、新たな発展の機會を求めて、海外進出を検討している中小企業が多いはず、と見込まれているわけです。日本の中小企業は、世界的に定評のある「メード?イン?ジャパン」を支えている高い技術を有しているところが多く、こうした企業の誘致に成功すれば、「メード?イン?チャイナ」の品質向上、さらには、當該省?市の経済発展、産業力強化、そして、イメージアップにもつながることになります。
ミスマッチが浮き彫りに
筆者には、中國各地の駐日代表事務所に多くの友人がいます。彼らは、派遣元(省?市)の招商引資の最前線にいて、同ミッションの先兵となっていると言っても過言ではありません。彼らが口をそろえて言うのは、「かつてと違い、日本企業の誘致活動は思うようにいかない。日本の中小企業が今日ほど海外展開に眼を向けていることはなかったはずなのに、なかなか中國に進出しようとしない」という點です。彼らの言うとおりですが、何かミスマッチがありそうに思えてなりません。
日本貿易振興機構(ジェトロ)の発表によると、2011年の対中投資(実行ベース)は前年比9.7%で、10年(同17.4%)に比べ鈍化する中、日本の対中直接投資は、中國各地で伸び、全體で49.6%増と高い伸び率を示しています。國?地域別対中投資で日本が第3位に浮上し、プレゼンスが高まっていることで、各省?市が「いざ鎌倉」とばかりに、日本企業の誘致に「いざ日本」という図式を描くのもあながち的外れではないといえます。同発表は、さらに、「日本?歐米市場の先行きが不透明で円高基調の中で、中國での競爭力強化と內販拡大に向け、統括會社設立や能力増強投資が、大手企業を中心に本格化している」と分析しています。つまり、新規投資はあるものの、足腰を強くするための投資が多く、中小企業の対中投資に至っては、中國側が期待するほどに目立っていないということになります。対中投資予備軍としての中小企業は増えてはいるわけですが、対中進出を暗中模索している中小企業がほとんどで、なかなか重い腰を上げようとしないというのが現実です。
対日投資説明會が効果的