中國網:中國と日本は環境の違いも大きいですが、學びあえることも多そうですね。
日本では少子高齢化は深刻で、日本の教育機関の生き殘りが叫ばれていますが、貴大學ではどのような取り組みをされていますか?
內田:日本では「グローバル30」という政策のもとで、留學生の受入れを拡大しております。少子高齢化社會を迎えるに際し、優秀な留學生を數多く受入れ、高等教育機関である大學のプレゼンスを高めなければなりません。「グローバル30」は、2008年1月に當時の福田內閣が打ち出した「留學生30萬人計畫」をもとに考案されたものです。日本が目指した留學生受け入れの増加は、ただ少子化による大學進學者の減少傾向に対応するために、安易に留學生數を増やそうとしているわけではありません。優秀な留學生の受入れ拡大は、少子高齢化による大學経営面での対策という側面よりも、より充実した研究機関へと発展を遂げるために長期的な視點に立った必然的な政策なのです。
そのため、海外に向けて早稲田大學はよりオープンな姿勢を打ち出しています。例えば、現在では6學部9研究科で、英語で入學し、英語で學位がとれることになっていますが、これをさらに拡大することを計畫しています。また、より多くの方が早稲田大學で幅広い研究?學習をすることができるように、入學者選抜方法等も改善していきたいと考えています。海外の高校とも協定を結び指定校推薦制度やAO入試を拡大し、より柔軟な入試制度への変革を目指しています。
また、少子高齢化によって、學生確保の競爭激化のみならず、若い働き手が減少することは日本の國力低下も意味します。日本が魅力的な國として存在し続けるために、大學は十代二十代の若者を対象とした教育にとどまらず、キャリアアップや専門性を高めたいという要望を持つ社會人にも広く門戸を開けた教育機関としての役割を果たすべきです。近年は、一度就職した社會人が、働きながら、または、退職して大學へ戻り勉強する割合も増えています。これは、社會情勢の変化に対応するために、再び大學で學び、高度な専門性を身につけて、社會への貢獻を志す人が増えたためです。この傾向は、今度ともさらに拡大していくものと思われます。そのため、若者を対象とした従來の教育のみならず、社會人教育?継続教育の重要性が増していくことが予想されます。あまり知られてはいませんが、早稲田大學は1886(明治19)年には「講義録」を発行し、校外生制度(通信教育)を発足させて、わが國初の社會人教育をスタートさせています。 以來、本學ではこの伝統をベースに社會人の學びのニーズに応えた制度を作り上げてきたのです。この伝統と実績により、早稲田大學は社會人教育においても定評のある教育システムを構築しています。
近年、人気の高まっている専門職大學院においても、社會人教育の重要さを考慮し、高度専門職業人の育成のため、入試制度?開講時間において社會人が學びやすい環境を整えています。また、社會人教育の一環として、科目等履修生制度、人間科學部の通信教育課程(eスクール)もあります。社會人教育において、特に注目すべきはエクステンションセンターです。大學の學びを社會に開放することを目的に、年間1,500もの社會人向け講座を開講しています。これからの大學にはそのような社會の要請にも答えていかなければならなりません。