中國網:日本全體で取り組んでいる様子が分かります。もう少し具體的に、貴大學と中國の學術機関で取り組んでいらっしゃるプロジェクトなどがございましたら、ご紹介ください。
內田:現在、早稲田大學と中國の學術機関により実施されている共同研究プロジェクトは、多數ありますが、主なものとして、2003年より世界遺産アーカイビング共同研究 (北京大學?早稲田大學?凸版印刷株式會社)、2002年開催された共同國際シンポジウ「MOT/MBAの叡知を産業活性化にどう活かすか」(清華大學?早稲田大學)、2004年開催ナノテクノロジージョイントシンポジウム(上海交通大學?早稲田大學)、2000年より継続的に実施されている四川とその近隣の地域文化を研究 (四川大學?早稲田大學)、2003年、楚文化と楚地から出土した文獻に関する共同研究(武漢大學?早稲田大學)があります。また、昨年わが國を襲いました未曾有の大災害、東日本大震災からの復興に際し、早稲田大學東日本大震災復興研究拠點?自然文化安全都市研究所(代表者?中川武理工學術院教授)のもと、早稲田大學と清華大學の日中両校による提案型設計ワークショップ研修が開催されるにいたりました。東日本大震災において津波?地震?原子力事故に因る被災を受けた東北三陸地方の巖手県大槌町において、両校の學生?教職員約30名(うち學生は早大8名、清華大8名)が參加し、4月27日から5月4日までの8日間に渡り同ワークショップは実施されました。現地調査?現地住民との対話を通じて、地域社會機能が失われ、高齢化問題が深刻化する大槌町の社會的?文化的課題に対応する設計案が提案され、今後の復興の指針となる貴重な実績を殘しました。
2007年に早稲田大學に設置された世界初の「研究型」孔子學院は、北京大學と共同で運営にあたり、先進的な中國研究の促進、中國を研究対象とする大學院生や若手研究者の研究活動の支援を目的としています。事業の一環として、「若手研究者育成事業」「著名學者招聘事業」「日中學術共同研究事業」「早稲田大學孔子學院講義録出版事業」などのプロジェクトを展開しています。これまでに中國の有名な研究者を招聘し、數多くのシンポジウム、研究會、學生討論會などを開催してまいりました。
共同教育という観點からは、大學、政府機関、企業と連攜して共同人材育成プログラムを推進しています。早稲田大學は、復旦大學、北京大學との間では、2004年からダブルディグリープログラムを開始しており、現在100を超える學生を共同で育成しました。それを発展させ、特定の分野において北京大學との間では、2009年より、早稲田大學大學院環境?エネルギー研究科において、國際環境リーダー共同育成プログラムがスタートしております。これは國境を越える複雑な課題を解決するために、日中が共同で人材を育成する新たな試みです。また、大連理工大學との間では、産學連攜ソフトウェア開発技術者養成プロジェクトが行われています。地域におけるソフトウェア産業の産學連攜を強化し、ソフトウェア技術者の人材育成に貢獻することを目的としたプロジェクトです。E-Learningシステム等を利用した共同教育プログラムの開発?実施を行なっております。
一方、中國政府の公費派遣學生を積極的に受け入れ、本學の博士後期課程で研究され、博士號を取得して、中國に帰國された學生は年々増えております。企業との連攜では、頂新國際集団奨學金制度があります。これは新しい産學連攜の取組みとして、早稲田大學と中國の食品関連企業最大手である頂新國際集団(本社天津、董事長:魏応州)とが提攜した大學院修士課程用プログラム「頂新國際集団 康師傅控股有限公司奨學金」制度を作りました。この奨學金制度は中國の大學に在籍する意欲ある優秀な學生を対象に、早稲田大學と中國の企業が協力して支援し、國際社會で活躍できる人材を育成するプログラムです。2010年9月より開始され、中國全土の大學卒業生を対象にする予定です。早稲田大學在籍中は、入學金、授業料、施設費等が免除になる他に、生活費として學生一人につき150萬円が支給されます。5年間で425名程度の留學生を予定しています。これほど大規模な國境を越えた産學連攜による奨學金制度は大変珍しいものです。