北京でスタートするドラマ『母として』の役は、今まで演じたことのない、人間として好感が持てる役だ。恐らく、今までの中國の映像界の歴史上、ここまで『良い日本人』の役は初めてだろう。この作品の自分の役を通して、日本人は中國人の“情”を感じることができ、中國人は日本人の誠実さ、心の奧にある寂しさを知ることができればと思う。
この『母として』の撮影中に娘を授かった。
母の偉大さ、親の子に対する思いなどを理解することができ、役に大変プラスになった。
“程南山”という人物は、矢野浩二そのものと言ってもいい。全てではないけど、今の日本人の考え方を代表してると思う。
ドラマ『母として』で僕が演じる“程南山”の臺詞の中で印象深いシーンはここだ。
程南山:中國有句話,叫做落葉歸根,我們回去將會把中國人的仁慈和寬容告訴所有的日本人,我們現在已經不是敵人了,我也算是半個中國人,我希望有一天我們兩個國家能成為朋友
『中國の言葉で落葉は根に帰る(故郷に帰る)というのがある。日本に戻ったら中國人の情の深さ、寛容さを日本人に伝えたい。私たちはもう敵同士ではない。私も半分中國人のようなもの。両國がいつか友好関係になることを願う。』
この思いは僕自身ずっと思っている願い。東北大地震以降、中國の一般の方々の日本に対する見方も変わってきているようにも思える。同情という思いからかもしれないが、僕はそれだけではないと思う。日本人の窮地に立たされた時の冷靜さ、それでも他人を気遣う精神は、多くの中國の人たちが敬服した部分ではないだろうか。