四、中國の平和的発展は歴史の必然的選択
平和的発展の道を歩むことは、中國政府と人民が中華文化のすぐれた伝統を受け継ぎ、時代の流れと中國の根本的利益に応じてつくり上げた戦略的選択であり、中國の発展の內的需要である。
――平和的発展は中國の歴史文化の継承
昔から中國の文化においては世界は調和のとれた総體であるべきと見なされてきた。この観念は中華民族の思想と行為に深い影響を與え、中國人が人と人、人間と自然ひいては國と國の関係を処理する際の重要な価値観となっている。
中國人民はこれまでずっと「和して同ぜず」、「天人合一」、「和を以て貴しとなす」の理念を尊び、調和を主旨に家族の力を結集させ、隣人と仲良くし、他人を大切にしてきた。調和の文化は、平和を愛するという中華民族の性格を育んできた。世界に名を馳せた「シルクロード」は貿易、文化、平和のルートであり、これには中國古代の人びとが各國國民と友好的交流や互恵協力を求めるための歴史的足跡が刻み込まれている。中國の明の時代の著名な航海家鄭和は「七度西洋に下り」、アジアとアフリカの30以上の國と地域に足跡を殘し、輝かしい中華文明と先進的科學技術を披露し、平和と友情を殘した。
中華民族は「多くの異なるものを受け入れられる包容力があり、寛容で大きい」度量をもって、すべての有益な外來文化を受け入れ、中國と外國の文化の融合を促し、対外文化交流史において數多くの美談を殘してきた。中國人民は強烈な集団意識と社會的責任感を持ち、「己の欲せざるところは人に施すこと勿れ」を尊び、異なる文化、異なる観念を尊重し、相手の立場になって考えることを重んじ、自らの意志を他人に無理に押しつけることはしない。禮儀正しく対外交流を行い、隣國と仲良くしながら他國とも友好関係を保っている。
5000年以上の文明史を歩んできた中國人民は、中華文化のすぐれた伝統を受け継ぎ、さらにこの文化に新しい時代の意味をつけ加えている。
――平和的発展は中國の基本的國情の要請
中國は人口が多く、基盤が弱いものの、世界の7.9%の耕地と6.5%の淡水資源で世界の20%近くを占める人口を養っており、経済社會発展の成果を13億余人で分かち合う必要があり、多くの人口の生存と発展のニーズをたえず満たすことはきわめて大きな難問である。2010年の中國の1人當たりの國內総生産(GDP)は約4400ドルで、世界の100位ぐらいにあたる。中國の都市部と農村部、區域の発展は非常にアンバランスで、経済社會発展の構造的矛盾が際立ち、資源環境など発展を制約するボトルネックが顕在化し、経済成長が物的資源の投入に過度に依存し、経済発展パターンの転換という任務は重い。中國の自主革新能力はかなり弱く、國際産業體系と貿易分業の中でいまだに産業チェーンの遅れた部分にある。中國國民の生活レベルはまだ高くなく、社會保障體系はまだ完備されておらず、先進國と比べてまだきわめて大きな格差がある。
中國の近代化は世界の5分の1の人口の近代化であり、これは非常に長い歴史のプロセスである。このプロセスに現れた困難と問題は、規模にせよ難度にせよ、當面の世界ではきわめて少ないものであり、人類の歴史でもまれに見るものである。かなり長い歴史の時期において、中國は依然として発展途上國であり、これは、中國が力を集めて近代化を推し進め、発展と民生問題の解決に努めなければならないことを決定づけている。また、中國は終始平和で安定した國際環境を必要とし、それをもとにして対外交流協力を展開している。將來中國は強大になるとしても、平和は依然として発展の基本的前提であり、平和的発展の道からそれる理由はない。基本的國情、文化?伝統や國の根本的利益、長期的利益は中國の平和的発展の決定的要素と內的原動力となっている。