130兆元、北京の土地を「売って」しまえば、アメリカ1年分のGDPに
「地王」が止まることなく姿を現すなか、不動産価格はどんどん上昇する。これはもはや決まった方程式である。中國の社會科學院の報告によると、2010年の不動産価格の上昇は割りとゆっくりになったと言える。しかし、それでも市民の収入の上昇速度よりは格段に速い。中國の85%の家庭が住宅を購入できないのが現狀である。李開発氏は「不動産購入をする大きな潛在的消費力があったとしても、不動産価格が高騰しているなかでは、本當に購入できる人は少ない」と述べた。
「地王」のリスクよりも大きな危険が不動産業界に潛んでいることを忘れてはいけない。全てを一変させてしまうほどの危険要素である。張冬峰氏は「いわゆる『トロイカ』の投資と消費が不動産に依存しすぎている事は、大きなリスクを生むことになりかねない。不動産は既に中國経済を支配しており、資金はほとんど全てと言っていいほど不動産業界を通して儲けが生まれる。この形で発展を続けたら、今後30年の中國経済はどうなってしまうだろうか」との懸念を示した。
また、中國の富の多くは40~55歳頃の人々の手の中にある。これは今後大きな社會問題を引き起こすきっかけになるかもしれない。10年後、20年後、彼らが年を取れば、消費に対する考え方は自ずと保守的になるだろう。そして、今の若者は不動産の高騰で大きな負擔を抱え、將來の消費力は期待できない。富のバランスが崩れた社會で高齢化の速度が速まれば、日本と同じように10年にも及ぶ長い経済低迷に陥る日が來てしまうかもしれない。
教訓はそれだけではない。日本の長い不景気の要因のひとつが資産の極端なバブル化であり、なかでも不動産のバブル化は顕著だ。業界関係者が語る最も印象的な出來事は、バブル絶頂期の頃、東京都の土地でアメリカが丸ごと「買えた」ことだった。
そして、今の中國は同じ危機に直面している。
2010年、北京には次から次へと「地王」が登場し、土地の総収入も前代未聞の1641億元で、中國のトップである。契約された土地面積は2061萬平方メートルだった。つまり、北京の土地の平均面積は1平方メートル辺り8000元と言うことになる。北京市の総面積は1萬6410.54平方キロメートルで、即ち164億1000萬平方メートルだ。
北京の土地は全て売ってしまえば、その総価格は130兆元となる。
専門家によると、2010年のアメリカのGDP総額は14兆5000億米ドルだと予想され、人民元にしておよそ95兆元である。要するに、北京市の土地全體で「アメリカを買って」もおつりが返ってくるのだ。
2009年の世界GDPランキングで、アメリカは14兆2600億米ドルでトップだった。中國は2位で、日本は4兆8440億米ドルで3位、後からドイツの3兆8180億米ドル、フランスの2兆9780億ドル、イギリスの2兆7870億ドルが続く。中國を除いた、2009年の世界GDPのトップ5であるアメリカ、日本、ドイツ、フランス、イギリスを合わせたGDP総額は28兆7000億米ドルで、人民元にしておよそ189兆元である。そして、北京市と上海市の両都市を合わせた土地総額は199兆元なので、北京と上海を「売る」と、世界でも最も発展している5カ國を手に入れることができるという訳だ。
張冬峰氏は「ある意味、この天変地異のような數字は、中國の不動産がバブル化しているというリスクが高まっていることを示している」と述べた。
「中國網日本語版(チャイナネット)」 2011年1月25日