清華大學の劉江永教授にインタビュー
■日本は「國家モデル」の転換期にある
――「國家モデルの転換」と言いますと?
日本は1868年の明治維新以降、これまで3回ほどモデルチェンジがあり、今は4回目の真っ最中にあると思います。
1回目は、明治維新による封建制幕府社會から近代資本主義への転換でした。が、すぐに帝國主義と軍國主義に走り、対外拡張と侵略の道を歩んで、失敗に終わりました。
2回目は、1945年以降の平和発展の道。外交や安全保障をアメリカに頼り、軍備よりも経済を優先させる道でした。反共主義かつ保守的で、アメリカ依存型が特徴でした。日本は東西冷戦という2極體制の下、安価な原油とアメリカの輸出市場に頼って、一躍世界第二の経済大國に躍進し、貿易立國のモデルを成功させました。
3回目は、1980年代から2009年9月まで。日米同盟の強化を土臺に、政治大國を目指すようになりました。アメリカ同調主義で國連安保理常任理事國入りを目標としました。しかし、その一方では、國內の民生問題が見落され、特に小泉政権時代には、日本の國家モデルの歪みが一層鮮明なものになってきました。つまり、日米同盟を強化すると同時に、戦爭や歴史問題を誠実に反省せず、靖國問題において隣國を刺激し続けました。このような右傾化した政治大國を目指すモデルは最終的に失敗し、それにより、自民黨も政権の座を失ってしまいました。
今回、鳩山首相の宣言した「平成維新」とは、私から見れば、まさに4回目のモデルチェンジの出発點だと思います。私はこれを「米亜を共に重視する経済?民生優先型」モデルと名づけています。少なくとも30~50年継続できれば、日本は希望の満ちる國になれます。
ただし、もしこれについて、日本で社會的合意ができず、政治も長期にわたって不安定となれば、日本経済も衰退し、全面的で複合型の危機がまた避けられないのではないかと思います。
――このようなモデルチェンジが成功する可能性は?
決め手は日本だけではありません。國際情勢やアメリカのモデルチェンジにも影響されます。また、中國も変わり続けています。30年前までまだ立ち遅れていた中國はいまや世界第2の経済大國になろうとしており、日本からODAを受けていた中國はいま、國際貢獻を考えるようになっています。経済力のみならず、中國はまたGDP重視型の経済成長から、より均衡がとれクリーンな発展に転換していくという課題も抱えています。産業構造の調整や人々の意識の転換も含まれ、一種の自己改善が求められています。中國のこうした改善は日本と世界の発展に重要な意義があります。もちろん、逆も同じですが…
「中國國際放送局 日本語部」より 2010年5月5日