2つ目は、國內産業の不安定化も考えられるでしょう。國家ぐるみともいえる、強引な獨自の技術?特許?著作権判斷は、中國國內企業(外國企業ではなく)にとっても國の裁定を信頼できないという狀態につながるはずです。例えば、ある中國內の中國企業が長年の研究技術開発である製品を開発したとして、この技術を中國內で明確なものとするために特許として確保しておいたとしても、別の中國內の中國企業がこれを「なんらかの手段」で覆すことができてしまうことを示します。この、いわゆる「人治主義的特許技術管理」の想定によれば、他國での特許申請ができないような中小企業、他國で特許申請ができたとしても中國內市場に直接顧客をもつ中國企業にとっても、研究開発投資をしにくい狀況をつくりだしているといえます。
このようにして、「強引」な特許?無形資産技術管理は、中國政府にとって、一時的に細かくメリットがあるものの、長期的には一國全體の國際社會からの更なる孤立化、そして中國內企業にとっても信用おけない政府の知財管理システムとのレッテル貼りが浸透してしまうでしょう。先ほど「諸刃の剣」と表現しましたが、改めたほうが良いですね、これでは明らかに、デメリットの方が多いはずであります。
実際のところ、今回の中國版高速鉄道で使用されている技術について、はたしてどの程度オリジナリティーがあるのか、その詳細な「真偽」については、僕も専門家ではないのでわかりかねますが、少なくともこうした批判が各所で出ていることには、中國は「先進國直前國」として、「もっと」重く受け取るべきであると考えます。
何人かの中國の友人たちに、この北京上海間高速鉄道の話をしたところ、「絶対乗らない!」とバッサリでした。確かに、価格設定が高めでありまして、片道5時間弱での切符は600元程度でしたでしょうか。飛行機の片道(2時間)がいま割引チケットで500元前後でも手に入りますので、搭乗手続き等の煩雑さを考えても、飛行機のほうが安くて早くて便利と思われますね。しかも、この高速鉄道はそれでも10年経っても建設コストからの採算がとれないとのことですから、いやはや、GDPの押上げ「だけ」のために使われていると國際社會から批判されるのも納得です。(國威発揚というよりも、行政失點主義の是正がなされていない)ちなみにGDPの引き上げ目的で言えば、目下、武漢の地下鉄建設は同時に?????やめておきましょう(笑)。
ハコモノ行政で失敗した日本とは、「失敗」の原因がかなり異なりますが、中國が日本から學べる失敗の一つではあると思います。せっかくの記念すべき大きなイベントだからこそ、中國には面目にとらわれずしっかりと頑張って欲しいと思います。
特許技術の問題、ハコモノ行政の問題、行政組織失點主義???中國高速鉄道は乗客よりも、多くの內政問題を運んでくれているのかもしれません。
(中川幸司 アジア経営戦略研究所上席コンサルティング研究員)
?中國網日本語版(チャイナネット)? 2011年7月14日