日本で3月11日にマグニチュード9.0の大地震が発生した。メディアの報道を総合的に観察してみると、日本は「災い転じて福となす」ことができ、この千年に一度の災難は前世紀から続く不況を終わらせ、日本経済を再び上昇軌道に乗せると見ることができる。
このような見方は市場にも現れている。3月11日に日本政府が発表した統計によると、2011年度(4月1日から3月31日)、被災地の一部工場の稼動停止や減産により、地震がもたらした日本の國內総生産(GDP)の損失額は約2兆7500億円となった。しかしそれと同時に、震災復興により5~8兆円の需要がもたらされる見込みだ。日本の2011年度のGDPは最大5兆2500億円(輸入要因は考慮しない)増加し、前年度のGDPの1%弱を占め、地震は確かに日本経済に「福」をもたらしているといえる。
一見すると道理があるようにも思える。震災復興の巨大な需要は日本の各関連産業の増産につながり、日本経済の泥沼からの脫出のけん引力になる。ところがよく考えてみると、これはでたらめでおかしな見方である。
19世紀のフランスの経済學者フレデリック?バスティア氏は、「ある腕白な子供が窓ガラスを割ったら、ガラスを取り替えなければならず、ガラスを取り付ける人と生産する人を動かすことになる。こうして社會の雇用と経済成長を促し、悪いことは良いことになる」という「割れ窓理論」を批判した。
この理論のでたらめな點は、別の一面を無視しているというところだ。もしガラスが割れなければ、持ち主はガラスを取り替える金で別の商品を買え、同様に社會の雇用と経済成長を促すことが可能だ。前者の見方はガラスが割れたと同時に持ち主の財産が減るというものだが、後者はそうではない。
実際に、地震発生後に生まれた硬直的需要により、日本のその年の総需要はこれまでを上回り(経済の持続的な低迷は日本國民に消費を渋らせ、また消費の低迷は投資ニーズを低迷させる)、それによってその年のGDPは増加する。しかし、地震が日本國民の財産に大きな損失をもたらしたことにも目を向けなければならない。日本政府の統計によると、大地震による直接的な損失額は16~25萬円に達する予想。地震による財産縮小と心理面への影響は日本國民の消費意欲を維持するのに不利となり、今後の総需要を大きく抑制し、その日本経済への悪影響は破壊によって発生した財産増加分を帳消しにし、上回ることは間違いない。
「中國網日本語版(チャイナネット)」2011年6月2日