2011年、中國が対外貿(mào)易政策は「輸出安定、輸入拡大、輸出超過削減」を目指す新たな目標(biāo)を打ち出してから、中國の2011年の輸出入の差額は1551億4000萬米ドルまで下がり、前年同期比14.5%減で、輸出と輸入の差額が明らかに縮まったことが分った。中國の対外貿(mào)易はすでにバランスの取れた安定期にあると言えるだろう。歐米諸國が貿(mào)易のアンバランスを理由に中國に目くじらを立てることもなくなるはずだ。
しかし、このような狀態(tài)にはある傾向が潛んでいる。つまり、一心不亂に輸入を拡大し、向こう見ずに外貨を使い果たしてしまうことになる。巨額の外貨準(zhǔn)備高は重荷になるため、あの手この手を使ってでも少なくするべきで、大幅な輸入拡大は外貨備蓄を減らすことができるため、輸入超過を恐れる事はないと指摘する聲もある。しかし、一方では現(xiàn)在の中國の輸出は思わしくなく、歐米市場は益々勢いを失っているために、日本でも前代未聞の輸入超過が起きている。仮に2012年の中國の輸出成長率が6%下降し、輸入が拡大し続ければ、2012年もまた中國の「輸入超過年」となってしまう。
第一に、輸入を拡大し、外國のものを消費(fèi)することは、輸出を拡大することよりも容易いだけでなく、外國のメーカーや政府からも喜ばれる。しかし、中國は大富豪ではなく、まだ多くの貧困層やギリギリの生活を強(qiáng)いられている人がいる。まだまだ長い年月をかけて、貯蓄をしていかなければ、先進(jìn)國には追いつけない狀態(tài)なのだ。そのため、輸入の拡大は程ほどに行い、輸入と輸出のバランスを保つべきであり、故意に輸入超過の狀態(tài)を作ってはいけない。
第二に、むやみやたらに輸入を拡大すれば、お金の無駄遣いをすることになり、苦労して貯蓄してきた外貨を浪費(fèi)してしまう。衝動的に輸入し、お金を湯水のように使ってしまう事は多くの弊害をもたらすことになる。中國はアメリカやEUのように貨幣の鋳造権を持っていないので、輸出でこつこつと貯蓄を増やしていくしかないのである。性急に浪費(fèi)し、それに慣れてしまえば、貯蓄する習(xí)慣を取り戻すのは難しくなってしまう。中國の貯蓄はどんどん少なくなり、いつかはゼロになってしまう。これは貨幣の鋳造権を持たない大國にとって、國際社會での威力が弱まってしまうことに繋がる。
外貨を貯蓄するプロセスは、中國の環(huán)境コストや人的コストを長い歴史の中で人為的に押し下げてきたプロセスでもある。この「抑制」に対し、まだきちんと埋め合わせも行っていない。そのため、中國が貯めてきた外貨は衝動的に外國製品、特にぜいたく品を買うことで使ってしまうのではなく、対外投資するべきである。鉱山や鉄道、公共道路、工場などに直接投資して資金を上手に活用するべきだ。また、リスクをコントロールできる範(fàn)囲內(nèi)である程度の國債や優(yōu)良な會社の妥當(dāng)な価格の株式など購入し、投資の効果を高めることもできる。
第三に、輸入を拡大する一方で、輸出を促進(jìn)することにも手を抜いてはいけない。歐米諸國からの注文が減少している中、輸出業(yè)界へのバックアップを怠り、対外貿(mào)易の企業(yè)が不振に陥っているのを見てみぬ振りをしていれば、國內(nèi)の就職狀況や経済成長、世界経済の発展モデルに仲間入りするチャンスに打撃を與えるだけでなく、今後、もう一度國際市場で失ったものを取り戻すことさえも困難になってしまう。2012年、中國の造船業(yè)界は全體的に注文不足に苦しんでおり、多くの中小の造船工場が倒産に追い込まれた。このような狀況の中で、関連企業(yè)が輸出の注文を増やす対策を講じて、新たな買い手を見つけなければ、業(yè)界が培ってきた成果は水の泡になってしまい、今後更に競爭力のある産業(yè)グループを形成するのが難しくなってしまう。そのため、中國は輸入を拡大するのと同時(shí)に、國外の最先端技術(shù)、安価な資源や人材を手に入れることに取り組み、輸出製品のレベルアップや品質(zhì)改良に努めるべきである。
輸入超過を恐れる必要はないが、ある一定のバランスを失ってはいけない。盲目的に輸入を拡大し、外貨を浪費(fèi)してしまうのではなく、國際社會で物が言えるだけの実力を保っておかなければいけない。
(著者:外交學(xué)院教授 周永生)
「中國網(wǎng)日本語版(チャイナネット)」2012年2月25日