僕は帰國する度に大學や企業、政府などで講演を行う。テーマは大抵中國に関すること、つまり「日本人はいかに今の中國を認識するべきか、今を生きる中國人とどうつきあうべきか」について。
中國は日本最大の貿易パートナーであり、日本の対中輸出(大陸に限る)は対外輸出の20%近くを占める。10年の日中貿易総額は3000億ドルを超え、332萬人の日本人が中國を訪れ、141萬人の中國人が日本を訪れた、日中友好都市はこれまでに300以上を數える。これはいわゆる日中関係の真実の描寫といえる。
ただ、この客観的な往來狀況とは裏腹に、日本人の中國に対する認識は「空洞」だ。日本で生まれ育った僕は年代、地域、性別を問わず日本人は、「中國」という古い文明を持つ國に尊敬の念を抱いているのをよく知っている。日本では小學校から國語、道徳、歴史などの授業で広く、深く中國古代の人物、歴史、思想に觸れる。中學、高校の6年間で、さらに「古代中國」を學び、大學入試センター試験の國語の4分の1の內容が「漢文」と呼ばれる、日本語で中國語を解読する試験だ。その內容も中國の古代思想や人物などに関連している。
日本は昔から真剣に儒教の思想を學び、日本の価値観の中に取り入れてきた。戦後の日本の高度成長は儒教と切り離せない。勤勉な労働観念、島國の危機意識、強固な日米同盟なども高度成長の要因だが、日本が奇跡を遂げた最も重要な理由をあげるとすると、僕は迷うことなく「以和為貴 (和を以て貴しと為す)、天人合一、己所不欲勿施於人(己の欲せざるところ、人に施すなかれ)」などの儒教思想をあげる。
日本人は中華文明に対して特有の尊敬の念を抱いていることから、現代中國の対外政策、民生政策、國內統治、イデオロギー、発展體制などで「驚くべき」狀況を目の當たりにすると、すぐにショックを受け、想像とまったく違う中國を受け入れることができない。僕からすると、これが日本人の「反中主義」の重要な論理といえる。
僕は日本の有識者に、「日本はできるだけ早く、中學の段階から『現代中國』の授業を始めるべきだ」と提案している。必修科目でなく、選択科目でもいいから、言葉から文化、社會から民族性、都市からミニブログ、社會文化から成長モデルにいたるまで、現代中國の真実は何か、今の中國人は何を考えているのかについて、理解し議論する必要がある。それが、今の日本人が若い段階で、いかに今の中國人とつきあうかを考えるきっかけになると信じている。(文=加藤嘉一)
?中國網日本語版(チャイナネット)? 2011年11月8日